やはり、お客様・介護者と、設計者・施工者とのコミュニケーションが鍵を握っていると思います。お客様が、実際にどんなことを不具合に感じているのか、ご自分にとってどんな使い勝手が好ましいのかを素直に話せるような雰囲気づくりを心がけてほしいと思います。また、どうしても図面を通じての相談が多くなるので、お客様が図面の内容を理解しやすいような工夫も必要でしょう。机上で策を練るだけでなく、実際に現場で動いてシミュレーションを重ねることが何よりも大切だと思います。
どれだけご自分の理想に近いプランができたとしても、最終的には予算やスペースの関係で全てを取り入れることはできない場合もあります。その場合、何を一番優先し何をあきらめるかを検討する必要が出てくるでしょう。でも、それまでに自分のライフスタイルを設計者や施工者に充分伝えてあれば、その取捨選択はスムーズに運ぶと思います。また、現段階で将来的に障害の進行が予想される場合には、それに対応したプランニングや、後々リフォームがしやすい環境にしておく必要もあると思います。特別な希望がある場合や生活の上で何か特殊な作業をしたい場合は、作業療法士(Occupational Therapist:OT)や理学療法士(Physical Therapist:PT)といった専門家に相談するのも得策です。住宅改修・環境調整、在宅ケアなどのほか、基本的動作や日常生活活動を改善するための指導や、社会生活を送る上で不利な要素を少なくするための福祉用具の選定なども含めて相談に乗っていただくといいでしょう。